深 川 そ ば 千 円 

食べ歩き , 寄稿記事 ,

深 川 そ ば 千 円

下町のそば屋である。そば前の肴が充実し、独酌する男たちの光景が店に馴染み、ゆったりとした空気が流れている。そんな「川むら」は種そばが充実しており、メニュー選びも楽しみの一つだ。「辛味大根そば」や「牡蠣そば」、「海老しんじょそば」や「にしんそば」、「鴨南ばん」など、大いに悩むところだが、「深川そば」はいかがだろう。あさりとねぎが、溶き玉子でふうわりと閉じられていて、つゆにはほんのりとあさりの滋味が溶け出している。極細打ちのそばが、そんなうま味と甘みをからめて、ゆずと三つ葉の香りとともに、つるると口に収まっていく。七個ほど入ったあさりはふっくらとしてほの甘く、穏やかな気分を運んでくれる。